ボールペン豆知識

ボールペンの仕組み


ボールペンのペン先(チップ)は、意外とデリケート!

ボールペンのペン先(チップ)は、金属でできているので丈夫そうに見えるかもしれませんが、意外とデリケートなのをご存知でしょうか。

構造 特に、ペン先にある“ボール”と“カシメ部(ボールを保持する部分)”の隙間はミクロン単位で設計されており、なんらかの衝撃でこの隙間が狭まると、書き味が損なわれ、場合によってはインクが出なくなることも…。

反対に、この隙間が広がると、インクが出過ぎるようになってしまいます。

ボールペンは、“書く”ための道具です。
ペン先で紙などに穴を開けたり、硬いものを突いたりせず、大切に使ってあげてくださいね。

ボールペンは角度が重要


文字を書く際は、正しい角度(60°~90°)で!

ボールペンを長く快適に使う秘訣は、文字を書く際に正しい角度を保つこと。
一般的に、ボールペンは「紙面に対して60°~90°の角度で使用すること」を前提に設計されています。
構造
そのため、60°未満の角度で寝かせて書くと、ペン先のボールがなめらかに回転せず、紙面にうまくインクがのりません。そればかりか、ペン先のカシメ部が紙面に当たって摩耗し、ボールが飛び出す原因にもなります。

「ボールペンを買っても、すぐに書き味が悪くなる…」という方は、筆記する際の紙面とボールペンの角度を確かめてみてください。ちょっと角度に気をつけるだけで、ボールペンの書き味はぐんと変わりますよ。

ボールペンのインクが出ない原因

“書けなくなる原因”は、使い方や保管方法にある?!

「まだインクが残っているのに、書けなくなった…」とお困りになった経験はありませんか?
上記でも少し触れていますが、ペン先(チップ)の変形や磨耗も、ボールペンが書けなくなる原因のひとつ。しかし、原因はそれだけではありません。「インクの逆流」「ペン先の詰まり」「インク(溶剤)の蒸発」によって、インクが出てこなくなることもあります。

『インクの逆流』

次のようなケースで、芯の中のインクが逆流すると、筆記できなくなってしまいます。

  1. 頻繁に、ボールペンを水平より上向きに傾けて筆記している場合
    (例: 壁にかけたカレンダーに文字を書くことが多い など)
  2. キャップを外したまま*1、ペン先を上に向けてペン立てに入れている場合
    *1ノック式の場合は、ペン先を本体に収納しないまま
  3. 激しく振ったり、高い所から落としたりして衝撃を与えた場合
『ペン先の詰まり』

ペン先の“ボール”と“カシメ部(ボールを保持する部分)”の間に異物が詰まると、インクは出てきません。例えば、表面がコーティングされている紙(感熱紙、FAX用紙など)に筆記した場合、ペン先によって削り取られたコーティング材を巻き込み、詰まることがあります。

『インク(溶剤)の蒸発』

ボールペンのインクに使われている溶剤は、時間の経過とともに蒸発していくため、少しずつ書きづらくなっていきます。快適に使用できる期間(目安)は、水性ボールペンで約2年、油性ボールペンで約3年。特に使用していなくても、ボールペンが書けなくなるのはこのためです。

ボールペンの歴史


油性ボールペンが生まれたのは、70年以上前のこと。

「ボールペンって、いつから使われているの?」という皆様に向けて、ボールペンの歴史を少しだけご紹介いたします。ボールペンがこの世に誕生したのは、いまから70年以上前のこと。ハンガリーで「油性ボールペン」が開発されて以来、「水性ボールペン」「ゲルインクボールペン」と様々なボールペンが生み出されてきたのです。

『油性ボールペン』

1943年にハンガリーで誕生した油性ボールペンが日本に持ち込まれたのは1945年のこと。日本にやってきた米国兵によって紹介されたといわれています。その後、国産ボールペンの製造がスタートしましたが、当時のボールペンは欠陥品が多かったそうです。
1950年代に入ってインクなどの改良が進み、実用性のあるボールペンが製造されるようになってからは、スムーズに書けること、鉛筆のように削る必要がないことなど、ボールペンの利点が広く受け入れられ、急速に普及しました。

『水性ボールペン』

1972年、国内メーカーから実用性と耐久性を兼ね備えた水性ボールペンが発売されました。そのモデルになったのは、1964年にオート社で開発された水性ボールペン。改良を重ねて生み出されたこのボールペンは、日本国内よりも欧米諸国で評判がよかったといわれています。

『ゲルインクボールペン』

ゲルインクボールペンとは、水性ボールペンのインクにゲル化剤を添加した筆記具のこと。1984年に日本で誕生して以来、広く販売されている商品です。
ゲルインクボールペンの開発は、その後の商品展開に大きな影響を与えました。従来、水性インクに大きな粒子を入れることはできませんでしたが、ゲル化剤を添加することでインクにラメや香料を入れることに成功。白色粒子を入れたパステルカラーのボールペンなども、このゲルインクボールペンの開発により生まれた商品の一例です。

ボールペンのしみ抜き


インクのしみを抜く方法をご紹介!

「ポケットに差していたボールペンのキャップが外れていて、シャツを汚してしまった…」などといった経験はありませんか?その際の対処法について、簡単にご説明いたします。
なお、油性・水性を問わず、一度付いたインクの汚れはなかなか落とせません。大切な衣類を汚さないよう、お取扱いには十分にご注意ください。

【油性ボールペンの場合】
  1. まずは、消毒用エタノールまたは除光液(プロピレングリコール類含有のもの)を衣類に少しだけ付けて、衣類が傷まないか、色落ちしないかを確認してください。
  2. 汚れた面を下にして、その下に布きれを1枚あててください。机や床などを汚さないよう、一番下にはビニールを敷くことをおすすめします。
  3. 少しずつ、汚れた部分に消毒用エタノール(または除光液)をかけ、衣類をたたいてインクを下にあてた布きれに移していきます。インクが染みだしてこなくなるまで、この作業を繰り返してください。
  4. インク汚れが落ちたら洗濯して完了です。
【水性ボールペンの場合】
  1. 汚れた部分に水と石鹸をつけて、揉み洗いしてください。
  2. 揉み洗いの後は、流水ですすぎます。インクの汚れがなくなるまで、揉み洗いとすすぎを繰り返してください。
  3. 最後によくすすいで完了です。
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